ぼたむす日記

アラフィフおひとり様の仕事、介護、読書のこと

諸行無常と授かり効果

近所で魚が美味しいお店が7年前にできてから週1くらいのペースでご飯を食べに行っていた。元築地の仲卸業をやっていたご夫婦が定年を機に始めた居酒屋さん。お魚の種類や鮮度が抜群で、もちろん「サーモン」なんて出てこない、丁寧な仕事振りの大将と気さくな女将さんが営む10名入ればいっぱいの小さなお店。繁盛店で、フラッと行くことが多かったので、コロナ禍前より16時半くらいから夜は開いているので、よく一番乗りで行っていた。

 

魚はここ!と決めていたので、お店が閉店する、と張り紙を見た際には、慌ててしまい、女将さんに「辞めちゃうんですか?!」と涙目で聞くと、大将の腰痛が悪化して、続けるのが難しくなった、と。お客さんもたくさんいらしたので、迷ったけれども、閉店を決めたのだそう。

 

それを知ってから、悲しくなってしまい、気持ちが落ち込んでいきました。私のこの虚無感は何なんだろう、と自問してみると、美味しお魚をもう食べられない、という寂しさと、「永遠に続くものはない」という現実を突きつけられたような気がしたからだ。

 

いわゆる「諸行無常」のあの言葉を思い出した。

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そしてそこから私は閉店す2カ月間、週に1度だったのが週に3度行くようになったのです。その心理は何かと、これまた調べてみると、私の行動は「授かり効果」と言う現象のようだ。

自分の持っているものを高く評価し、手放したくないと考えること。

一度何かを所有すると、それを手に入れる以前に支払ってもいいと思っていた以上の犠牲を払ってでも所有しようとする現象。

 

つまり、馴染みの居酒屋さんには週1回の価値を見出していたのに、「閉店」と聞いた瞬間から、週3回の価値に高まってしまったのだ。面白いなぁ、と思った。私も条件反射的にこういう行動をしてしまっていたことに、笑ってしまいました。

 

このお店は本当に大好きなお店だったので、週3回行ってお店にお金を落とすことに、なんの後悔もありません。(って言うのも「授かり効果」の言い訳とか、いうのかしら!?)

最後の1カ月はお昼にお店の前を通ったらいつもは無い行列ができていました。おそらく常連ではなく、近くに住んでいて「いつか行こう」と思っていた方々だと思います。「閉店セール」が人でにぎわうように、これも行動心理学的な現象なのでしょうか。

 

そして閉店から1カ月後、コロナ禍で休業していた別の美味しいお魚を出すお店が再開していて、今はそちらに週1で通っています。まさに諸行無常、なくなるものもあれば、現れるものもあり、人はすぐに慣れていく生き物なんですよね。

 

それにしても、行動心理学って面白いですよね。人の行動って、自分の意志で決めているようで、実は「DNAに埋め込まれたものに、動かされている」だけなのかも。もっと詳しく本を読んでみたいと思います!