林先生が対談していた森岡毅氏のインタビュー番組を見て興味を持ち、本を買ってみました。
260ページ程の本ですが、「小学生でも分かるように」と書かれていたので、マーケティングに興味がある方なら、サクサク読めて、読みごたえもあると思います。私はとても面白く、「そうだよね」とうなずきながら、1度目はサッと、2度目はじっくり興味のある部分を読み進めました。
マーケティングとは、物やサービスを売れる仕組みを作ること。つまり営業しなくても(売らなくても)、自然に売れるようにすること。そのためには「企業目線」ではなく、「消費者目線」がとても大事ですよ、と究極に短く言えば、こう言っています。
私が特に共感したのは、「日本のほとんどの企業がマーケティングができていない。その一つの理由が技術指向だから」というところ。
これ本当に共感します!特にTVCMや広告を作る際に、クリエイターとは正直、いつもぶつかります。アート作品を出してくるクリエイターの方多いですよね。「いやいや、見た目の美しさよりも、消費者に読ませる/見させる/聞かせる/買わせる広告を作ってくれ!」と毎回バトリます。
でも注文を付けすぎて、やる気をなくしちゃうと作品どころの話じゃないので、褒めながら上手に誘導していくのですが、「そうそう、これこれ!」と思う地点までは全然誘導できないことが多いです。同じような経験を森岡氏が文章化してくれているので、あ、間違ってなかったんだなぁと凄く共感できました。
勉強になったのは、消費者のパーチェスフロー(認知してから購入に至る流れ)を数値化することで、ブランドの売り上げを計算できる、というところ。森岡氏は「マーケティングは数学だ!」という考え方を提唱していて、彼独自の数式が簡単バージョンで公開されていています。
一部の数式ですが、売上個数のシミュレーションは、
売上個数=消費者の数×認知率×配荷率×購入率
事前のシミュレーションによる検証は、どこを広げればが成果が跳ねる確率が高いのか、集中すべき着眼点を教えてくれるのだ。つまり、やみくもに広告やPRなどの宣伝をするのではなく、数字できちんと立証していくことで、限られた資金と労力の選択と集中(戦略指針)ができ、効率的で効果的な結果が得られるのだ。
ただ何となくボヤっとしていたマーケティングの考え方が、数値で示せるのに驚きました。実際に森岡氏はこうした数式でUSJをV字回復させているのですから、説得力があります。
そもそも「マーケティング」って言葉がカタカナであるように、日本には無かった考え方なんですよね。ビジネス、これもカタカナですが、欧米式の合理的な考え方が基本にあるのが「マーケティング」。マーケティングの考えが無いと、到底世界では戦えない世の中になっています。この本は変化を嫌う日本人に警鐘を鳴らすと共に、すぐに実践できる考え方が満載です。特に数式のところは、実際の仕事の中に取り入れてみたいと思います。