ぼたむす日記

アラフィフおひとり様の仕事、介護、読書のこと

【試食や試着で断れない心理】辺報性の原理

皆さんは、スーパーなどで試食をした際に、「特に欲しくないけど、買わなきゃいけないかな」って思う方ですか?私はそう思う方なので、「これが欲しい」と思っていない限り、試食は断るようにしています。

洋服の試着も店員さんと一対一の際は、「これ買う!」と思わない限り試着はせず、ユニクロなどの試着室の多いところで、ゆっくり選ぶことを好みます。

自分は「いいかっこしー」だから、「試食だけってせこいな」とか、「着たのに買わないの?」とか思われたら嫌だな、次回来難いな、とか変な緊張感を持っていました。

ビジネス上でも同じようなことがありました。会社でお仕事をたまに(年2回ぐらい)お願いしている業者さんが、週に1度はオフィスに来てお菓子(買ってきたもの、手作りのもの)をくれます。気前のいいひとだなぁと思っていたけど、来るたびにいつもくださるので、私からすると「もらった限りは何か返さなければ」という思いが強くなり、もらうことが逆に「苦痛」になっていました。

最初はただ好意的にくださるのかと思っていたけど、なんだかこれは「セールスの一環」ではないか!?と思い始めたのです。案の定、気づかなかったのは私だけで、他のスタッフは

「用もないのに、オフィスに来ても嫌がられるじゃない。だからお菓子持ってくれば、オフィスに入りこみやすいし、みんな喜んでくれる。そうすれば、誰かしらお仕事をお願いすることもあるじゃない?」と。

また、他の会社の人からは「あの人は二枚舌」だよ、とも。顧客(私)に対する態度と、同じ業者さんに対する態度は全く異なるそう。

なるほど、私は全く気が付かず、「いい人だなぁ、何かお返しをしなければ」と一瞬でも思ってしまった自分が恥ずかしくなってしまいました。

そこで、試食したり試着したらなぜ断れないのか、ものをもらうとなぜ「返さなきゃいけない」と思うのか調べてみました。

★★★

こんな言葉がでてきました。

辺報性の原理

人は他人から何らかの施しを受けた場合に、お返しをしなければならないという感情を抱くが、こうした心理をいう。参照:Wikipedia

 

人は基本的に、もらったら何か返したい、という感情があるのですね。これは身近なマーケティング手法として使用されています。実際に試食や初回無料などのサンプル商品も、こうした人の心理を巧みに利用したものだそうです。

ひと昔は「強引な試食」食べたら買うのが当たり前!、みたいな態度をする試食販売の人いましたよね?強引になればなるほど、みんな嫌悪感をもち買わなくなる。無料サンプルも、しつこい勧誘電話やメールが来ると、逆に悪印象にあり、ブランド力を損ね、結果お客さんが居なくなる。

今は、辺報性の原理を上手に活かしている会社を多く見かけますよね。程よい距離感の試食、つまり、「どうぞ召し上がってください、良かったらご購入ください」と買っても買わなくても笑顔で対応。

無料サンプルも、メールでご連絡しても宜しいでしょうか、と聞くか、必要最小限のメール回数、2-3通だけ。やり過ぎは結局不快感しか与えない、両社(両者)にとっていいことはありませんよね。

「やり過ぎ」る業者さんには今や不快感しかありません。正直、仕事の質も悪いのです。仕事の質を上げるより、お菓子渡して仕事を取る方が手っ取り早い、と思ったのでしょうか。それともこの「辺報性の原理」を巧みに使った気でいるのでしょうか。結局、今は誰もその人に仕事を頼まなくなってしまいました。なのに、お菓子を喜ぶ若いスタッフが居るので、隙あらばと、お菓子を運んできます。

辺報性の原理」を知ってから、

これは誰もが持つ心理なんだ」と思って、

断ることを恐れることはないんだなぁと私自身が勇気づけられました。

今ではビジネス上、むやみにものをくれる人には、注意深くなりました(笑)人からものをもらった場合は、本当に心からお返しがしたい、と思った時にだけ、することにしています。少しでも「しょうがないかなぁ」「せこいと思われたくないからな」と思ったら、お返しする必要はない、と割り切っています。

また、この心理を利用するマーケター側としたら、「やり過ぎ」には注意しないと、逆効果になること、匙加減が必要なこと、を覚えておきたいですね。