ぼたむす日記

アラフィフおひとり様の仕事、介護、読書のこと

【読んだ本の紹介No.21】生贄探し 暴走する脳

今日は出勤日でした。通勤途中SNSを何気なく見ていたら、流れてきたのが「嫌われるのを怖がるより、嫌われる勇気を持とう」という言葉。その言葉の力を借りて、というより便乗して、今日は無駄なミーティングにお付き合いで参加するのをやめました。

 

どうでもいい人には嫌われてもいいや、と。って言うか、自分が思うほど、相手は気にしていないんですよね。それがアラフィフになりやっとわかってきた気がします。

 

さて、ブックオフのお勧めの棚にあったのがこの本「生贄探し」。脳科学者の中野信子さんと漫画家のヤマザキマリさんの対談形式に書かれた本。

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タイトル通り、私たちの脳は無意識のうちに暴走していることについて、歴史上の人物から、現在のデジタル時代における我々の行動を例にとり、お二人の見解が書かれています。

 

危機的な状況が起きれば、少しでもはみ出したものから生贄に捧げられてしまう、と言うように「ヒトの本能は昔も今も変わっていない」ことに警鐘をならしています。イタリアの紀元前の暴君と言われる皇帝も、現代のSNS上での炎上など、「正義」を振りかざした生贄探しがされているのです。

 

特に印象に残ったのは、日本人の親の75%が子供に「他人に迷惑をかけない人になってほしい」と回答したのに対して、他の国では25%しかいなかった、という下り。

 

日本では宗教でもない、法でもない、世間そのものが戒律になっているので、自分よりも群れを優先してしまうから、そうした発想になっていくのだそう。

 

意味のない、お付き合いミーティングもいい例だと思います。人数合わせ、というか、とりあえずミーティングに入って、と言われることありませんか。はっきり断ると、後でねちねち嫌な思いをさせらるのではないか、とか、何かあった時にそれこそ「生贄」みたいにさらし者になってしまうのではないか、という思いから、無駄だと思っても参加したりしてしまいますよね。それって、日本人特有の考え方で、他人と違ったり、個を優先させたりすると、「生贄」になってしまう可能性が高い、ということだそう。

 

多様性を認めよう!という動きがある中、真逆に居る日本人はどう生き抜いていけばいいのか。自分が「異質な者」として「生贄」にならないためには、そうした環境から一刻も早く離れる、ことだと言っています。でも、現実には会社を辞めたりするのって、すぐにはできませんよね。

 

また中野信子さんはこうとも言っています。「明日の見えない、不安な時代に、『空気』という群衆の曖昧な意見に振り回されず、自分自身の選んだ道を正解にできる力強さを持とう!」と。

 

私自身はアラフィフになり、何よりも「時間」が大事に思えてきました。なので、自分の時間をどうでもいいことには使いたくない、という思いが強くなってきたので、無駄なミーティングは断ることにしています。けれど、若い頃はもちろん断る勇気はありませんでした。今サラリーマンを30年近くやってきた結果、「でませ~ん」と言えますが、脳が暴走する構造からして、いつ生贄になってもおかしくはないのですよね。

 

また、自分が「生贄探し」をしないようにも心がけています。世の中が益々グローバル化していく中で、多様性を受け入れていくことは必須であると思っています。本の中にも「自分磨きが大事だ」と書いてあるように、日々グローバルな視点を持つことも生き抜く力として求められていることだと思いました。

 

この本には色々な例題、イタリアの皇帝ネロと毒親の話など、今にも通じる普遍的な要素が多く盛り込まれているので面白く読めました。